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宮流神楽 巫女舞の種類と特徴

 宮流神楽の巫女舞

  宮流神楽の巫女舞の舞い方は、知立神社に限らず、西三河地域一帯ではほとんど同じです。
  一般的な宮流神楽の巫女舞は、後ろに5歩、前に5歩、回れ右して5歩、回れ右して5歩の計20歩
  歩くのが基本です。歩き方が少し違う榊の舞や四方の舞も、大体20歩ぐらいです。
  これは、神楽の曲で12口(6口の繰り返し2回、または4口の繰り返し3回)の長さに、だいたい相当します。

 基本的な形のもの
  共手の舞 − 両手に扇。手は左右対称に動かす。最もベーシックな形。(読み:もろてのまい)
  左右の舞 − 両手に扇。手は共手と違い、左右非対称で上下に動かす。(読み:そうのまい)

 採り物を持つもの
  鈴の舞 − 右手に鈴を持つ。左手は共手。
  幣の舞 − 左手で幣をかつぐ。右手は共手。
  榊の舞 − 左手に榊を持つ。歩き方が他と違ってT字形。右手は共手。

 特徴的な手の形をもつもの
  露の舞 − 両手に扇。払うような手の動きが特徴。手は共手。
  葛の舞 − 両手に扇。葛を表す手の形が特徴。手は共手。
  月の舞 − 両手に扇。月を表す手の形が特徴。手は左右(共手の地域もあり)。
  鶴の舞 − 両手に扇。鶴の羽ばたきを表す手の動きが特徴。手は左右。
  玉の舞 − 両手に扇。水平にした扇に上にもうひとつの扇を立てる手の動きが特徴。手は左右。

kaguramaimaiさんが、平成24年5月3日の例大祭にお越しいただき、上記の舞の特徴がよくわかるビデオを作って下さいました。10種類を網羅しています。以下に埋め込んであるので、ご覧下さい。




 バリエーション

宮流神楽の舞で基本的なものは、上記の10種類ですが、それ以外にもいろいろあります。歩き方だけが違っているものはそれほど珍しくはありません。ただ、長い曲に対応する舞は、文献上ではいろいろな地域で伝承されているようですが、実際に舞われることは極めて稀です。知立神社でも、以下の歩き方が少し変わっているだけのものは、たまに舞われていますが、長い曲に対するものは、私は見たことがありません。

 通常の長さの曲に対応するもので、歩き方が少し変わっているもの
  四方の舞 − 両手に扇。歩き方は十字形で、榊の舞の歩き方で後ろへも行く感じ。手は共手。
  鈴の榊舞 − 採り物は鈴で、榊の舞と同じようにT字型に歩くもの。左手は共手。
  幣の榊舞 − 採り物は幣で、榊の舞と同じようにT字型に歩くもの。右手は共手。
    (「○○の榊舞」は、歩き方だけがT字型のものを指し、共手・露・葛・月などでもやっています。)
    (「○○の四方舞」は、歩き方だけが十字型のものを指し、左右・玉・露・葛などでもやっています。)

 長い曲に対応するためのもの(歩数の合計が20歩を大きく超えるもの)
  高根の舞 − 歩き方は四角形を2回。手は左右。高音部のある神明神楽を想定していると思われる。
  のしの舞 − 歩き方は8の字形。手は共手と左右の両方が出てくる。
  千鳥の舞 − 鈴を持ち8の字に回す。手は共手。
  つきの舞 − 歩き方は半円形を2回。手は共手と左右の両方が出てくる。


 舞の詳細

始まり−>(チョイチョイ)・礼−>後ろへ5歩−>チョイチョイ・礼−>前へ5歩−>チョイチョイ・回れ右・礼
−>前へ5歩−>チョイチョイ・回れ右・礼−>前へ5歩−>(チョイチョイ)・礼−>終わり

始まり
 左膝を立て膝にして、右足を後ろに引き、頭は少し下げ、扇や採り物に手をかけて、笛が鳴るのを待つ。
 締太鼓が鳴ったら立ち上がり、礼を行う。(礼の前にチョイチョイを行う地域も多い)

歩き方
 舞を始め、右足から後ろへ下がってゆく。
 足の歩みと共に体を斜め左右に向け、5歩目で正面を向き、止まる。
 チョイチョイ、礼を行う。
 舞を始め、左足から前へ進んで行き、5歩目で正面を向き、止まる。
 チョイチョイ、扇を胸の前に置いた状態で回れ右し、礼を行う。
 舞を始め、左足から前へ進んで行き、5歩目で正面を向き、止まる。
 チョイチョイ、扇を胸の前に置いた状態で回れ右し、礼を行う。
 舞を始め、左足から前へ進んで行き、5歩目で正面を向き、止まる。
 笛が終わるのを待つ。
 1歩ずつ前後し、足の歩みと共に体を斜め左右に向ける地域も多い。

終わり
 2回目のオヒーで礼を行う。(チョイチョイをやってから礼を行う地域も多い)
 同時にかがんで右足を後ろに引き、左膝を立て膝にし、頭は少し下げる。
 完全に終わったら、礼と逆方向に大きく扇を回し、扇や採り物を置く。(単に置くだけの地域も多い)

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チョイチョイ
 扇などを持った両手を一度下に下げ、次に胸の前に置く動作。礼を行う前に、もう一度両手を下に下げる。
 回れ右するときには、扇を胸の前に置いた状態で回り、回ったあとで礼を行う。


 扇を前方に平行に手背を外側にして頭上まであげ、そこから手背を全面にして大きく回す。
 胸の高さになったら、手背を下にし、扇を平行にし、頭を少し下げる。


言葉だけでは分かりにくいと思うので、解説ビデオを作ってみました。



ビデオでは、回れ右するときに、チョイチョイ・礼をやりながら回転しています。しかし、チョイチョイをしてから扇を胸に当てた状態で回転し、その後に礼をするのが本来かと思います。また、礼のときにもう少し扇を水平にするのが普通かもしれません。



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